仮面福音書 [最終更新日:2009年2月10日]
私の任務
私は,「難関中学を目指して日々勉学に励む小学生諸君を救済せよ」との任務を帯びて,学習結社「知恵の館」から送り込まれてきました。実は,小学生にとっての「試験で点を取る勉強」が,その後の中高一貫校での学習や大学受験にスムーズにつながるとは限りません。本当に「賢い」ことと,試験で点を取れることとは,別のことなのです。
入学試験というたった1日(しかも多くの場合,午前中だけ)の一発勝負で,いったいどんな能力が測れるのかという点を考慮すれば,その意味が分かってくるでしょう。もちろん,試験で点数を取らなければ進学できないのですから,それは必要条件であることは前提となります。しかし,試験で点を取ることだけに特化した勉強を続けていると,中学生になってから,恐ろしいことが待っているのです。
学力低下問題
「皆さんは,「学力低下問題」という議論を聞いたことがあるでしょうか。「ゆとり教育」「生きる力」といったキーワード」で述べられて来た文部科学省の文教政策の結果として,若年層の日本人の学力が低下してしまったという問題です。この問題は,いわゆる学力底辺層だけの問題ではありません。皆さんが進学を目指している中高一貫校の内部をも,学力低下は蝕んでいるのです。私は,長年にわたり,中高一貫校生や高卒生を相手に,大学受験の指導をしてきました。そうした経験の中で,いわゆる名門校の生徒さんの中にも,実は学力低下が進行しているという事実を肌で感じ,少なくとも自分の目の前の生徒さんに対しては,それなりの対症療法を行なってきました。
名門校に在籍していながら学力低下が起こるのはなぜか。理由はさまざまですが,代表的なものを挙げてみると,中学受験の段階で「点を取るための学習」に精を出し過ぎた結果,確かに点が取れるようになったものの,それだけなので,本来の実力以上の学校に入学してしまい,学校の授業についていけなくなって,気持ちが腐っていく,といったパターンがあります。他にも,中学受験の段階で,何でもかんでも覚え込んでしまい,覚えさえすれば教師や親からも褒められるのでそれを続行し,記憶だけに頼る勉強の習慣がついてしまい,考える力が伸びないまま中学に進学し,気がついた時には慢性的な思考停止に陥っている,といった例もあります。
読んでお分かりのように,これは非常に恐ろしい現象なのです。小学生の間に「よくない勉強習慣」が身に付いてしまい,しかも,考える力が無いのに試験で「点数だけは取れる」から,周囲に褒められてこれでよいのだと「勘違い」してしまう。こうした症状から,その後の補正・是正が非常に困難となってしまうのです。こうした悪循環のメカニズムは,早期に絶っておく必要があることを痛感し,私は算数仮面カリキュラムの開発に乗り出したのです。
情報・知識・知恵
私の所属する学習結社「知恵の館」では,次のような教えを広めています。人の学習には,三段階があるのです。
それは,
(1)情報(information)を取得する技能を身につける
(2)知識(knowledge)として身体に取り込む
(3)知恵(wisdom)として人格の芯まで浸透させる
というものです。
では,これらの違いはどこにあるのか。(1)と(2)は,脳の中にあるか外にあるかの違いです。情報(information)は自分の外側にあります。アクセス(access)し,アプローチ(approach)して,取りに行くのです。情報を正しく受領することが,学習の第一歩であるということです。情報が自分の脳の外にあるのに対して,知識(knowledge)は脳の中に入って来ています。情報が人間の五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)というセンサー(sensor)を通して脳に入り,定着したところで,情報は知識に変わります。次に(2)と(3)の違いですが,これは情報から変化した知識が「自家薬籠中のもの」になっているか否かの違いです。「知っている」と「理解している」の違いとも言えましょうし,「表面的な理解」と「根幹までの理解」の違いと言ってもよいでしょう。情報が脳に到達して,一応の定着をみて知識に変わったとしても,それを自由自在に使いこなせるわけではありません。学習項目で言えば「一応知っているけど,応用は出来ない」という状態です。これが,深いに理解に届いて,自分のものになった状態,いわゆる「応用力がついた状態」になると,知識は知恵(wisdom)と呼ぶべきものに変化します。知識は,時間が経つとしばしば忘れてしまいます。忘れても,情報(書籍やノート等)にアクセスして再度知識にすることは簡単です。一方,知恵は,時間が経っても忘れることはありません。理由は,人格の芯まで染み込んでいるからです。ヒトという知的生物として,生まれてから今日まで,獲得し続けた「知恵」の総体が,その人の「人格」である,と考えています。ですから,「知恵の館」の学習観は,「(2)では足りない,(3)まで届かせよう」というものなのです。
カリキュラム
算数仮面は,一回一回の授業・講義を,自分自身との勝負だと考えて,しっかりとした準備(教材執筆と授業構成)をしてきます。算数仮面が皆さんに「最高の講義」を提供するために,授業回数は(各コースにつき)概ね1ヶ月に1回となっていることをご了承ください。また,算数仮面は「大事なこと」を漏らさず教えるように講義の準備を進めますが,中学入試の算数に必要な全ての例題パターンを「網羅する」ようなタイプの授業は行いません。算数仮面の教育目標は「知識を超えた知恵の獲得」にあるからです。同時に,中学受験の世界に見られる,ある種の有害な指導(試験で点を取るための刹那的な便法で,中学進学後に役立たないばかりか,むしろ有害であるとさえ言える類いの指導法)の一切を拒否します。知恵を身につける(=賢くなる)ことに目標を置き,将来の学力低下を回避する予防接種のようなカリキュラムを組んでいます。詳細については,当サイトの「算数仮面カリキュラム」をご覧下さい。
講座スペック
上述のように,算数仮面の講義は,一つのコースについては1ヶ月に1回しか行ないません。2009年度にご提供出来るのは,
ライブ形式:ジュニアヘビー級講座6年生コース(年間で10回)
ライブ形式:ジュニアヘビー級講座5年生コース(年間で10回)
ライブ形式:ヘビー級「秒殺の世界」コース(年間で10回)
DVD形式:ヘビー級講座6年生コース(年間で10回)
DVD形式:ヘビー級講座5年生コース(年間で10回)
以上の5講座です。
講義においては,50分の単位を「ラウンド」と呼びます。つまり,1回の講義は,第1ラウンドから第3ラウンドまでで構成され,各ラウンドごとに,君たちに伝達したい重要項目を織り込んでいきます。各ラウンドの最初と終わりには,チャイムのかわりにゴングを鳴らします。生徒諸君は,ゴングの音を聴くと,背筋をシャンと伸ばして,授業に集中してくれています。
予習についてですが,必修の予習問題を準備します。算数仮面の授業についていくためには,これだけは知っておかなければならないというポイントを,いくつかの確認問題の形で提示します。レベルとしては,どの塾でも教えているような典型問題を想定しています。次に,当日に講義をするメインの問題群ですが,これらを授業中に「ハイ5分」などと君たちに解いてもらう時間はありません。算数仮面の授業は濃密であり,1分たりとも無駄にしたくはないのです。そこで,メインの問題は事前に渡しておくので,考えて来てください。ただ,難しい問題も含まれていますから,結果を出すことを義務付けたり,答え合わせをしたりすることはありません。当日の講義の素材を事前に見せておくので,あくまでも「考えておく」ことだけを求めます。 講義の後には,復習問題を提供します。講義が理解できれば解けるような問題で,自習可能なように解答も付けておきます。なお,講義中に前回の内容の復習の時間を取るようなことはありません。各「ラウンド」ごとの内容をしっかりと学んでもらいます。たとえば,ヘビー級講座,ジュニアヘビー級講座の場合には,これらの「予習問題+メイン問題+復習問題」が,各回に3ラウンド回って行きます。したがって,全10回30ラウンドといっても,かなり内容の濃いものを学ぶことができるでしょう。
講義の進行
私は,こんな顔をしていますが,コワい授業をする人ではありません。小学生にも分かるような言葉で授業をすすめます。この文章は,漢字や熟語がたくさん入っていて,小学生のみんなには難しいかもしれないけれども,これは保護者の皆さんにお読みいただくことを前提としているもので,実際の講義は分かりやすいことばで語ります。コワい授業はしませんが,君たちにダラダラされても困ります。そこで,授業中のテンション(緊張感)を維持するために,いくつかの仕掛けを準備してあります。たとえば,瞬時に答えなければいけないような問題は,板書や口頭での出題後に3カウントを叩きます。手を挙げたり答えを発言する必要はありませんが,およそ3秒以内に答えられないとフォール負けになるので,君たちの胸の内で勝敗数を数えておいて下さい。
また会おうぜ
繰り返しますが,私の任務は,難関中学を目指す君たちの目先の合格を支援するだけでなく,将来の学力低下に抵抗する予防接種となり,君たちが「知恵(wisdom)」を身につけた立派な大人になるのを手伝うことです。試験の点数だけ取れるものの,考える力の無いままに大人になると,自分の人生を自力で切り開くことができません。そのための「知恵」なのです。文部科学省の言う「生きる力」とは,本当はこのようなものなのです。
私は,十分な準備の上に算数仮面教室を運営し,君たちに合格以上のものを導きます。やる気のある人の挑戦を待っています。
気になった人は,告知されている説明会に足を運んで,算数仮面と直接話をすることもできます。また,会おうぜ。
知識から知恵へ,アウフヘーベン
▼黄金のアウフヘーベン
aufheben1
▼暗闇のアウフヘーベン
aufheben2
▼アウフヘーベン概念図
これは,ヘーゲルの弁証法(dialectic)を想定しています。
ある命題(thesis=正)と,主張において矛盾する命題(antithesis=反)から,
それらを本質的に統合した命題(synthesis=合)に至る
アウフヘーベン(aufheben=止揚)という思考法を念頭に置いています。